「神が涙で頬をぬらすことは許されない」
”neque caelestia tingi ora liect lacrimis”


『――コロニスを深く愛しているアポロンは、彼女の不貞を聞くと、思わず、手にした竪琴の撥を取り落とした。
そして怒りで心が煮え立つままに、手馴れた武器を手にとって、弓を引き絞ると、あんなにもたびたび自分の胸に重ねた彼女の胸を、のがれたい矢で貫いた。
射たれた彼女は、白い肌を真っ赤な血で濡らしながら、こう言った。

”お腹の赤子を産んでから、罰を受けることもできましたのに。このままではこの子を道連れにすることになりますわ”

――恋い焦がれるアポロンは、残酷な処罰を悔やんだが、悲しいかな、もう手遅れだった!
あんなことを耳にし、あんなにもかっとなった自分が、憎らしかった。こんな悲しみのもとを作ったあの鴉も、わが弓も、わが手も、かるはずみな矢も、みんなみんな憎らしかった。

くずおれた彼女をひしと抱いて、死なせまいと手を尽くすが、もうあまりにも遅すぎる。神は胸の底からうめきをもらした。
天上の神々は、涙で頬を濡らすことを許されないからだ。』


  (オウィディウス『変身物語』)



…そんなわけで、私の憧れのシーンを描いてみました!古代ローマの詩人、オウィディウスのアポロンとコロニスのシーンです。本当にこのシーン大好きです!!しかし、この二人については前に日記で死ぬほど語ったので、今更どうこう言うつもりはないぜ…!(2008年10月20日の日記。)

「神が涙で頬を濡らすことは許されない」けど、アポロンの頭上の月桂冠が、持ち主の心をくみ取って、涙のように花を散らしてくれるんじゃないだろうか…と思って描いてみました。(この絵だと分かりづらいんですが!)

あーギリシャだと今の時期(5月)、月桂樹の花がキレイなんだろうなぁ、きっと!!

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