楽人オルフェウス。
死んだ妻を取り返すため、彼が冥界のハーデスの前で吟じた歌は、
それはそれは悲しく美しかったという。 

そんな彼が最期に歌った歌。
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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(※…「ヒアシンス(ヒュアキントスの花)」は、古代ギリシャではパンジーの一種ことです。多分今は無い種類。) 
 
――あ〜なんか私が描くと全然ダメで申し訳ないんですが、 
オルフェウスは、酒神ディオニュソスに自分のことを崇拝する(歌う)ように命じられるも、 
「僕が崇拝してるのはアポロンただ一人だから、お前さんのことは歌えない。」。 
で、嫉妬したディオニュソスに八つ裂きにされながら、最後首だけになっても歌ってる、という…。 
 
っつーか、そりゃあ自分のライバル(アポロン)ののろけソング延々聞かされたら、私がディオニュソスでもコイツぶっ転がすよ!! 
 
「いつ俺の歌になるのかなぁ〜……って最後までアポロンかよ!!」って感じだったと思うよ、ディオニュソス! 
 
「もう意味が分からない!!俺の大っ嫌いなアポロンが美少年とニャンニャンしてる歌を延々聞かされた!!ってそりゃあ怒るだろ!! 
 
だけど、オルフェウスにとっては、自分に楽才を与えたのはアポロンだし、 
最後もアポロンの歌を歌って殺されたい。とか、 
 
歌の中のアポロンのヒュアキントスへの嘆きに、自分と奥さんへの思いを重ねてる。とか、 
 
かつて奥さんを取り返すために、ハーデスの前で歌ったという過去、 
だけど今は、死ぬためにディオニュソスの前で歌ってる、という対比とか、 
 
八つ裂きにされながら、自分の体に滴る血の真紅に、 
そうだ、この色をアポロンは愛したんだ。とか、 
 
アポロンは養子である僕のことも、ヒュアキントスのように 
愛してくれただろうか、 
そして、僕は妻と同じ場所に行けるんだろうか。 
 
とか、色々な考えがめぐっただろうなあ!とかさあ!
『わが父アポロンは誰よりもそれを愛した』にはもうオルフェウスの万感の思いが込められてるんだろうなあとか!――……ああっ!これよね!ギリシャ神話ってこれよね!!この美しさも醜さも全部詰まってるような感じ!! 
 
 
――それに引き換えアポロンの
うっかり八兵衛っぷりと言ったら…。 
アポロンはさ……なんていうか自分の「医術の神」っていう特性をまるで生かせてないわよね。 
どうでもいい連中がケガした時には治せるのにさ!大切な人は治せないのよね!! 
 
ディオニュソスが、「俺の体が八つ裂きに!頼むくっつけてくれ!!」とか、 
ハーデス様が
「肩に矢が刺さったぁああ〜〜もうダメ!もう私死ぬ!!」って時は普通に治せるのにさ! 
あのさ、
ディオニュソスとハーデスなんて、そんなのアポロンにとっては一番どうでもいい連中じゃん。 
 
「アイツらが今死ぬだろ…。問題無い!ってレベルじゃん!「なめときゃ治る。」くらいの診断でいい連中じゃん!!そういう連中は治せてどうして…! 
 
 
それとも、あれなのかな!?大切な人だとテンパっちゃって手術に手が着けられなくなっちゃうとか!? 
 
アポロン
「ああっ、メス!私のメスがない!メスどこー!?……あっ!あったッ……ってこれ万能ネギじゃんかよーっ!!」 
 
 
――正直そんなアポロン好きだわ〜!